ライトって難しいよ・・・。 200709
変わらない
2007-09-30 Sun 07:53
 彼はこのライトを読むこともなく実家に行った。
 帰る前に電話が来た
 「行ってくるわー」
 「いってらっしゃい」
 ぎこちない会話。
 流れる沈黙の時間。
 何も言葉が見つからない。
 彼もきっと同じ。
 それ程大きい出来事じゃなかったはずなのに
 些細な事だったはずなのに
 これ程2人の間に大きな影を落としている。
 彼らしくないほどに取り乱して
 つじつまの合わないことを繰り返して
 それ程アタシに知られたくないことだった
 今までとは違う彼の動揺。
 あんな彼を見たのは始めてだった。
 
 2度目の電話
 「来週の土曜は絶対来れる?」
 「なんで?」
 「お祭りがあるみたいだからさー」
 思い出していた。
 1年前の会話。
 「子供達連れてきたら喜んだだろうな〜」
 「呼んじゃう?」
 「出来ないでしょ〜〜」
 そう言って笑った。
 彼はもう覚えていないだろう。
 アタシはナゼ覚えていたんだろう。
 あの日の夜道を。
 あの日のお祭りの灯りを。
 まだ彼が今の街に引っ越して来たばかりだった。
 帰りの道を駅まで歩いていた。
 あの日のアタシ達に今のアタシ達は見えただろうか。
 こんな風に言葉を探すような日が来るなんて。
 ううん。
 あの頃からそうだった。
 何かあるたびに言葉を探した。
 そしてそれを越えてきた。
 何かあるたびに自分に言い聞かせてきた。
 「大丈夫。きっと越えられる」って。
 そして今回も越えられる。
 そう信じよう。
 越えられないとしたら
 これがアタシ達の限界だったんだとあきらめよう。
 今日は約束をしてるわけじゃない。
 彼の都合に合わせると言ってある。
 アタシは仕事と言う手前
 いつも通りに家を出よう。
 そして彼からの連絡を待つ。
 会えないならそれでもいい。
 話せないならそれでもいい。
 アタシは何も変わらない。
 いつでもここに居る。
 変わらない心で
 変わらない想いで
 彼を待とう。

 
 
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そんなに焦らないで
2007-09-29 Sat 08:13
 書かなければ
 凹んでるって言いそうだから
 書く事にしたよ。
 凹んでないし、怒ってもいない。
 冷静だから安心して。
 ここでも、あなたにも言った事があるでしょ。
 「いろんな事わかってるつもり」だって。
 あなたをずっと見てきたんだもの
 あなたの様子を見ればわかる事もたくさんある。
 ひとつづつちゃんと話そうね。
 実家に帰っての映画。
 あの日あなたが帰ってないことは気がついていたのよ。
 でもね。
 あなたが言ってくれる気持ちを受け止めようって
 思ったの。
 だからあれ以上言わなかったの。
 ウソをついてまで行きたかった映画。
 その理由は知っている。
 あなたったら聞いてもいないのに
 「女とご飯食べて映画行ったレシートでもあったら・・」
 って。
 気になってお財布見ちゃったんでしょ?
 レシートないよな・・・って。
 大丈夫よ。お財布なんて覗かないから。
 そんな事はしないから。
 安心して。
 
 給料が入れば行きたいところ。
 会いたい人。
 しょうがないって思うようにしてきたの。
 あなたが一緒に居る間だけでも
 笑って居たいから。
 そうすればあなたはアタシを見てくれるって
 信じてたから。
 前にね、Yからメールが来たの
 男の人にとって
 ご飯を食べたい女。カラオケをしたい女。
 お酒を呑みたい女。セックスしたい女。
 そんな風に揃ってたら楽しいんだろうね〜。って。
 女はそれぞれにひとりづつじゃなくて一人の人が
 全てなんだって。
 楽しい事も悲しい事も一人の人と。
 そう思う生き物なんだろうね。
 よく言うの
 「愛されるよりも愛したいマジで〜〜だよ」って。
 アタシを好きでいてくれて
 甘い事を言ってくれて、いつでも思ってくれても
 その想い以上に自分が相手を大切じゃなければ
 きっと愛してるって思えない。
 自分自身以上に大切だと思う時
 愛してるって言える。
 変よね。
 振り向いてもらえなくてもいいから
 愛していたいなんてね。
 
 アタシね、
 あなたにお金を使わせなかったのは
 使うべきところに使って欲しかったからなの。
 食べるためだけじゃない。
 夜の訪問者に息を潜めなくてもいいように、
 電気が止まるなんて心配しなくていいように
 大家さんに会ってなんでもなく
 「こんにちは」って言えるように。
 悲しいとか淋しいと思うのは
 その分のお金が他の事に使われてしまうって事。
 まっひーとキャバ嬢じゃ、価値が違う。
 比べる事自体おかしい。
 そう言ったけど、
 あたしには自分の価値は判らない。
 思う時があるよ。
 お金を掛けてでも会いたい人が
 あなたが本当に会いたい人なんだなって。
 それを打ち消しながらそばに居る。
 アタシ強くなったでしょ。
 Yと話した事がある。
 「強くなったんじゃない、嫌われない方法を見つけただけ」って。
 面白いのよ。
 Yが凹んでるとあたしにも凹む事がおきるの。
 Yが楽しそうだとあたしにも楽しい事がおきるの。
 アタシ達似てる〜〜〜って笑ったの。
  
 「覚悟は大事だよ」
 あなたからのメール。
 いろんな事に覚悟は出来てる。
 進むための覚悟。
 あなたは反対だろうし、
 見たくないんだと思う。
 その時が来たら離れてもいいからね。
 決して引き止めたりしいないから。
 それがあなたとの約束だから。
 
 今日は寒いね。
 一日寒そうよ。
 風邪引かないようにね。
 やっと治ったんだから^^




 
  
  
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満月だったよ
2007-09-27 Thu 23:45
 体調がイマイチでアップもギリギリ。
 彼とも会わずに帰って来た。
 彼も残業で時間が合わなかった。
 彼からは仕事を切り上げたと電話が来た。
 仕事の状況。
 憤り。これからのビジョン。仕事への思い。
 そんな事を何気ない会話の中に感じた。
 電車に乗り込んだ彼からのメール。
 「本音では法人営業をしたい」
 それがどんな事なのかはアタシには
 ハッキリと判る訳じゃない。
 でも以前の彼のように仕事に思い入れを持ってほしい。
 「前までは楽しそうに仕事をしてたよね
          疲れていても楽しそうだった」
 そんな返信をして空を見上げた。
 人気のない自転車置き場。
 雲の切れ間から顔を出した満月がそこにあった。
 前日、悪友Yからメールが来ていた。
 「明日は満月?」と言う件名で。
 そしてアタシは1年前を思い出していた。
 彼と見上げた三日月。そして、満月。
 彼を支えたいと強く願った夜。
 何も要らないから・・・と、彼の仕事の成功だけを祈っていた。
 次女が見つけた三日月。
 雲に隠れた三日月。
 雲の中では三日月なのよ。と心の中で彼に話しかけていた。
 同じ月を見上げながら
 時間の流れを感じた。
 一人で見上げた満月。
 心の中に彼は居た。
 笑う彼が。ふざける彼が。
 そっと顔に触れる彼が。
 そばには居なくても彼の存在を感じていたい。
 月を見上げるたびに彼を思うだろう。
 何年経っても。
 彼が永遠にそばに居なくなっても
 月を見上げるたびに
 1年前の彼とアタシがそこにいるような気がする。
 
 
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ダウンです
2007-09-26 Wed 23:59
 まひわダウンにつき
 本日のアップはお休み。
 アップできない日が増えてしまって
 何となく悲しい。
 今日はちゃんとお布団で寝ます。
 最近ソファーで朝を迎えてたのもいけなかったのね。
 明日の朝には元気になります。
 では。おやすみなさい。
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じゃあね
2007-09-25 Tue 06:55
 彼はお休み。
 アタシは仕事。
 いつもどおりに仕事をこなして
 休憩には彼にメールを送る。
 返信は仕事に戻ってから。
 コッソリメールを覗いてみた。
 「待ってるよん」
 短い返信。
 それだけで残りの数時間が長く感じる。
 仕事を終えて彼にメールを入れるとすぐに電話が鳴った。
 「へい〜」
 「おわったぁ〜」
 駅までの道を歩きながら話をして
 「うちに来てからご飯食べ行こう」
 そう約束をして電話を切った。
 食事に行き買い物をして部屋に戻り
 2人でのんびりと過ごす。
 ふざけあってくっ付きあって。
 笑いながら微笑みながら
 そこにいることに喜びを感じる。
 そしていつものように帰る時間はやってくる。
 「まっひー10時だ〜」
 「帰んなきゃ〜・・・」
 帰る準備をして彼と手を繋ぎ
 「じゃあね」
 「おう、じゃあね」
 そう言いながら離せない指先。
 握る彼の手の強さに手を離す事が淋しくなる。
 また話を始めて
 「じゃあね」
 「うん。じゃあね」
 彼に触れてまた立ち上がることが出来なくなる。
 笑いながら話をして
 「じゃあね。・・・ってこれで3回目だな・・」
 「ホント・・。」
 離れる事が淋しくなる。
 手を離す事が淋しくなる。
 何度も繰り返す『じゃあね』
 バイバイ。とは言わない。
 またね。とは言わない。
 いつでも『じゃあね』
 玄関に向かいながら彼が話しかける。
 「まっひーーーじゃあね〜〜あさってくらいね〜〜」
 「そうだね〜〜あさってね〜〜」
 次の約束。
 例え約束なんてしなくても
 会いたいと思えば会える。
 それでも言わずにはいられなかったのは
 離れる事の淋しさをごまかす為。
 すぐに会えるんだって感じるため。
 彼が言った事がある
 「ずっと居てほしいとオレは言えないんだから」
 そう。
 『ずっと』を続けるのは簡単じゃない。
 だから一日一日を大切に続けて
 何度も『じゃあね』と言いたい。
 笑いながら言う『じゃあね』
 手を離す瞬間の淋しさを消す為の
 「じゃあね」
 すぐに会えるって。
 隣にいなくてもそばに居るって。
 次に手を繋ぐまでの
 『じゃあね』
 
 仕事がんばろうね。
 あたしもあなたも。
 じゃあね。
 行ってきます。
 あなたも
 いってらっしゃい。

 
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2007-09-24 Mon 06:56
 それぞれに過ごす日曜日。
 アタシは家で。
 彼は部屋で。
 朝のメールを送りブログを書いて
 久しぶりにメッセンジャーを繋いだ。
 彼の表示はアイドル表示。
 でもオンラインには変わりない。
 繋いだまま忘れてしまったのかもしれない
 そう思いながら
 彼にメッセージを送った。
 気が付かなくてもいい。
 そこに居るだけでいい。
 そう思いながら送ったメッセージに帰って来た返事は
 「hey」
 少し話をして彼が作り始めたプラモデルの話になった。
 そして彼が繋いだのはwebカメラ。
 カメラの前に出された作り掛けのプラモデル。
 そして写りこむ彼の姿。
 いつもの彼。
 プラモを置いて彼がカメラの前でふざけていた。
 PCの前に座って笑いながら彼を見ていた。
 そばには居ない彼。
 でもそこに居る。
 いつものように笑って変な顔を作って笑っている。
 メッセに書き込んだ。
 「にひひひひ〜〜顔見れてうれしかった」
 「そうか?」
 思いがけない出来事だった。
 会えない時間は寂しくなる瞬間もある。
 ちゃんとご飯食べたかな・・・・
 お昼ねしたかな・・・・・。
 そんな事を思うこともある。
 違う場所でそれぞれの時間を過ごしていても
 気持ちはそばに居る。
 今日はアタシは仕事。
 彼は3連休最後の日。
 会えるのは夜になってから。
 でも会える。
 ホンの少しでも会えればそれでいい。
 ちゃんとご飯食べてね。
 体も休めてね。
 夜ご飯は一緒に食べようね。
 そばにいようね。
 
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不安定な心
2007-09-23 Sun 08:48
 会いたくて
 早く会いたくて
 彼の街に向かった。
 いつもの電車
 いつもの町
 いつもの店
 いつもの部屋
 1ヶ月間体調がよくなかった彼
 玄関を開けた彼は元気なままだった。
 歌を歌ったり、
 テレビのニュースに怒ったり、
 笑ったり、
 ふざけたり。
 一緒に居る事が嬉しくて
 彼が居る事に感謝して
 それでも小さなことですねてしまった。
 自分でも判らない感情。
 ごめんね。
 と思いながら寝てしまった彼のそばで
 膝を抱えてウトウトとして
 腰に触れる彼の手のぬくもりで目が覚めた。
 冷えた体を温めて
 彼の腕の中でまどろむ。
 抱きしめる強さに不安定な心が静かになった。
  
 「もうすぐまっひーの誕生日だな〜」
 不意に彼が言った。
 誕生日。
 去年の誕生日。
 彼に言い出すことも出来ずに過ぎた時間。
 後悔と淋しさに耐え切れなくなった事。
 始めて彼の仕事場に呼んでくれた事。
 そんな事を思い出していた。
 去年とはアタシ達の関係も変わった。
 気持ちを伝える事に迷っていたあの日とは違う。
 『まひわも彼も素直じゃない』
 そう言われた日。
 好きな人の前では素直になる。
 そう約束をした。
 この一年。
 素直じゃない時もあった
 意地を張って彼を困らせたこともあった
 言いたい事をガマンして耐え切れなくなった事も
 同じように彼も何かをガマンしたこともあっただろう。
 それを越えて今がある。
 
 昨日はごめんね。
 何でかムキになっちゃったの。
 あなたが寝ていたからじゃないのよ。 
 あなたを起こさないようにしたかったのに
 結局起こしてしまった自分に腹が立ったのかもしれない。
 八つ当たりしてしまったのかもしれない。
 ごめんね。
 笑えなくて。
 あなたが気がついてくれて嬉しかったよ。
 「足冷たいな・・・寒かったの?」
 気がついてくれてありがと。
 足を暖めてくれてありがと。
 抱きしめてくれてありがと。
 何も返せなくてごめんね。
 覚えてる?
 あなたが言った事。
 「キスはキケンだと思うから」
 「魂に火がついてしまう」
 バイバイのキス。
 迷うの。
 してもいいの?って。
 心のままにキスをして抱きしめて
 「じゃあね」って。
 その瞬間にあなたは何を思うんだろうって。
 淋しさの何倍ものシアワセを抱えてあたしは帰ったよ。
 心配させてごめんね。
 体調はもうすぐよくなるから。
 仕事が落ち着けば体調も落ち着く。
 もう少し。
 今の状況に自分が適応できるまでの辛抱だって
 判ってるから安心してね。
 そばに居てくれてありがとう。
 アタシの唯一の安らぎ。
 今日はゆっくりしてね。
 あなたがしたい事をメいっぱいしてね。
 明日。
 仕事が終わったら行くね。待ってて。
 
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おかえりなさい
2007-09-21 Fri 20:52
 彼は午後から出張。
 昼の新幹線で名古屋に行った。
 そして、
 今東京に向かう新幹線の中に居る。
 冗談半分に言った。
 「オレが名古屋に一泊してまっひーが次の朝に名古屋に来るとか〜〜」
 一瞬考えるあたしが居た。
 全く知らない土地で2人でデート。
 「ちょっと本気で考えたでしょ〜〜〜」
 「ううん。考えてません〜〜」
 「え〜〜そうか〜?」
 「・・・・・・・・・・。」
 「じゃ〜〜もう一回言うから顔見せてみ〜〜」
 「やだ」
 「考えてたんじゃん〜〜〜」
 想像くらいはしていた。
 そんな事出来たらいいな・・・と。
 いつかどこか遠くの知らない所を2人で手を繋いで歩きたい。
 彼が言った事がある。
 「日帰りバス旅行とかいいよな〜〜」
 「今度行こうな」
 新宿辺りでバスに乗って
 一日彼と2人で観光しながら
 知らない人たちに紛れて
 帰りのバスで寄り添って眠る。
 そんな普通の事。
 それをすることも簡単じゃないのかもしれない。
 でもいつか。
 彼とバスに乗りたい。
 どこか遠くの町まで。
 色々な日常を忘れて
 2人だけで。
 
 彼は今頃どこを走っているだろう。
 帰って来るのは東京。
 でも何となくアタシの元に帰ってくるような気持ちになる。
 これも勝手なアタシの想像。
 思いこみ。
 こんな思い込みならいくらしてもいいよね。
 シアワセな思いこみ。
 
 おかえりなさい。
 明日は会えるね。
 いつもの土曜日。
 いつもの部屋。
 いつものあなた。
 いつものアタシ。
 たった2日間。
 会えなかっただけなのにね。
 今スゴク会いたいよ。
 ナゼだろうね。
 もっと会えない時もあるのに。
 今日はスゴク会いたい。
 明日までおあずけ。
 おかえり。
 早く帰って来てね。

 
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同じ道。違う気持ち。
2007-09-20 Thu 07:18
 昨日は彼の歯医者さん。
 心配していた痛みは幸い再発せずに
 久しぶりに元気なままの彼が居た。
 のんびりとDVDを借りて街をブラブラ歩いて
 ラーメン屋さんに。
 入った店は彼の会社があったビルの隣り。
 「ここはまっひー来た事なかったよな〜」
 「そうだね〜〜」
 「会社の隣り過ぎるからって来れなかったんだなー」
 「うん。向かい側にあった店もね・・」
 「ああ〜あそこな〜〜なくなっちゃったからな〜」
 テレビでも紹介されるほどの有名な店だった。
 芸能人が来る店として紹介されている番組を見て
 彼にメールを送った事がある。
 「今度はあそこに行って見たい〜〜」
 返って来た返信にがっかりした事を覚えている。
 「その店は会社の目の前だからな〜・・・」
 目の前というよりも真向かいで
 会社からもよく見える店だった。
 「じゃ〜ムリだね〜ザンネン」
 わがままを言って彼を困らせたくない。
 彼の会社の人たちにアタシの存在を知られてはいけない
 そんな思いでそれ以上行きたいとは言えなかった。
 数日後、彼はその店にランチに行った。
 会社の営業事務の女の子と。
 行きたい店にもアタシは一緒には行けないこと。
 堂々と会社の前を歩けない事。
 その現実に悲しくなった。
 きっと彼はアタシのそんな気持ちに気がついていたんだろう。
 数日後彼が言った。
 「あの店に行きますか〜」
 「いってらっしゃい」
 あたしは誰かとランチに行くんだと思い込んだ。
 「違うよーまひわさんと行こうって誘ってるのよ」
 「いいよ・・誰かに見られたら困るでしょ」
 「見られて困る事は別にないけどな〜」
 「でもいい」
 「そうなの〜?」
 「うん」
 アタシはどこかで意地を張ってしまった。
 嬉しかったのに。
 行きたかったのに。
 いつか行こうと思って居た。
 会社が引越しをする前にその店はなくなってしまった。
 行く事がなかったレストラン。
 でもそこにその店があったことを
 アタシは忘れない。
 そのビルの前を通るたびに思い出す。
 意地を張った事。
 彼が気にしてくれた事。
 彼の住む町には色々な場所に想い出がある。
 そこで交わされた会話までリアルに思い出せる。
 その時の気持ちまでも。
 同じ道をその頃とは違う気持ちで歩く。
 懐かしく昔を懐かしむみたいに。
 
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2007-09-19 Wed 07:18
 「会議いれられた〜9時までだから会えないかもだぁ
 彼からのメールにはいつもほとんど絵文字がない。
 時々困った顔や泣き顔が入っている。
 それが彼の気持ちなんだと感じられる。
 彼があたしからのメールに何を感じているんだろうと
 気になったこともある。
 気持ちが落ちて絵文字の入らないメールを送った時
 彼が言った。
 「いつもならさ〜笑顔マークの後にハートとか付くのにさ〜〜」
 「全然ついてないんだもんー」
 意外にもアタシからのメールでアタシの気持ちを感じていた。
 たかがメールなのに送信する瞬間に
 戸惑う時もあった。
 送信を押した後で涙がこぼれた事もあった。
 そんなメールも全て彼は気持ちを感じてくれていた。
 朝メール。
 時間はいつも同じ。
 駅に着いて乗換えまでの数分で入力をする。
 乗り換えでホームを移動しながら送信をする。
 毎日のアタシの日課。
 「7時49分のメール」
 彼がそう言った。
 あたしが思うよりも
 彼はあたしからのメールを気にしてくれていた。
 彼からの返信はその時によってこない時もある。
 それでも彼があたしからのメールに
 気持ちを感じていてくれるなら
 それでいい。
 
 会議が終わって会社を出た彼からの電話
 会社を出てから家に着いて眠るまで話をした。
 その日一日の体調の事。
 仕事の事。
 出張の事。
 途中で食べた食事の事。
 そして今日の事。
 「明日まっひーも行ってくれるよね・・・・」
 「うん行くよ〜」
 「歯医者さん嫌いなんだもーーん」
 「判ってる」
 「一緒に行ってねー」
 「大丈夫よーー」
 子供みたいに話す彼。
 そんなときはもう眠くなってる時。
 眠りに落ちるその時までそばにいられる。
 隣にいなくても
 彼を抱きしめて
 彼の手を握って
 ぐっすり眠ってね・・・。と。
 「じゃーおやすみなさぁ〜い」
 「うん、おやすみー」
 電話が切れて彼はそのまま寝てしまっただろう。
 
 アタシ達はけんかをするたびにお互いを理解してきたんだと思う。
 何を思い。何を望んで。何をしたいのか。
 全てを分かり合うことは難しいのかもしれない。
 でも時間を掛けて近づいてきた。
 そして今がある。
 またいつか同じようにケンカをして
 お互いを傷つけ合うのかもしれない。
 それでも彼が話そうとしてくれるなら
 きっと続いていける。
 
 さあ、今日も一日が始まる。
 夕方彼はアタシを待っているだろう。
 一緒に歯医者さんに行くために。
 待っててね。すぐに行くから。
 必ず行くから。
 そばにいるから大丈夫。
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一番の幸せ
2007-09-18 Tue 01:14
 この1ヶ月思わしくなかった彼の体調。
 今日は朝から調子がいいとメールが届いた。
 久しぶりに元気そうな彼。
 実際に顔を見るまでは心配だった。
 玄関まで迎えに出てきた彼の表情は
 元気な顔に戻っていた。
 寝転ぶ彼に寄り添ってあごのヒゲに触れる。
 違和感の残るラインには触れないようにそっと。
 「こっちおいで〜」
 彼が隣りを開けて呼んでくれた。
 抱きしめて抱きしめられて
 シアワセを感じる。
 日曜の朝に話したこと。
 彼の思い。 
 そんな事が胸に沁みて温かくなる。
 夕食は久しぶりにちゃんとした食事。
 この1週間痛みで殆ど食べられていなかった彼。
 シチューを作って買い物をして
 「肉食いたいー」のリクエストに最適な
 柔らか煮豚を買った。
 早めの夕食。
 ちゃんと食べられるか心配しながら食べ始めて
 前のように美味しそうにほおばる彼に安心した。
 彼が元気でいる事がこんなにも嬉しい。
 完全に治った訳じゃない。
 また痛みが出るかもしれない。
 でも一日だけでも何事も無かったように
 静かな休日を過ごせた事が嬉しかった。
 
 仕事の問題は帰り際にチーフと話し合った。
 同じような立場で同じように考えていた頃を思い返して
 今何をするべきか気がついてくれた。
 戦ってくれるのかは判らないけれど
 気持ちを判ってくれるなら
 きっと上手く行く。
 彼に話したことでアタシは前を向こうと思えた。
 あたしにとってどれだけ大きい存在か
 改めて感じた。
 こんな風に支えあっていけたらいい。
 アタシは彼の仕事の助けはできない。
 ただ話を聞くことだけ。
 それだけでもアタシが感じたように
 気持ちが軽くなるなら
 どんな事でも話して欲しい。
 
 アタシの幸せ。
 それは彼が元気でいること。
 彼が笑っている事。
 そばにいられること。
 この幸せが長く続きますように。
 
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もっと自信を持つよ
2007-09-17 Mon 00:36

 彼からの電話。
 朝から何度も鳴るバイブに出る事が出来ない自分。
 崩れ落ちた自分を取り戻すことも出来ない
 何をすればいいのかも思いつかない。
 ただ鳴るケータイを見つめているだけ。
 彼からのメールにさえ何を返せばいいのか
 全く判らなかった。
 「今日は来ないんか?」
 このまま終わってしまうのか・・・。
 そしてまたあの歌が流れ始めた
 「自分に負けてまた臆病になって
        逃げるのはもうやめよう」
 彼にメールを送った
 普通に『おはよう』と。
 そしてまた鳴り始めたケータイ。
 何を言えばいいかも判らないまま電話に出た。
 「おはよー」
 「へい〜今日は来ないの?」
 「うん。やめておく」
 「昨日変な帰りかたしたからさー何かあったのかと思って」
 「大丈夫よ」
 「大丈夫ってことは何かあったって事だな」
 「ははは・・・ないよ」
 「え〜〜ないってことはないでしょ〜〜」
 もう何も言えなかった。
 彼は映画の話を始めた。
 そして言った。
 「オレがこの話するって事はブログ読んだって事よ」
 「うん・・・」
 彼が説明をしてゆっくりと話してくれた。
 「オレの事だけ?他には?」
 「うん・・」
 彼に仕事の話をした。
 今ある問題について。
 どうしたいか。どうなっていこうとしてるのか。
 何をしてやればいいのか・・。
 アタシの立場でできる事。
 そんな話をして居て感情が戻ってきた。
 堪えきれないまま涙がこぼれた。
 「アタシには言えないよ・・そんなかわいそうなこと」
 泣きながら話をして自分を取り戻した。
 泣くほどに自分が自分の立場に迷っていた事に気がついた。
 やれる事は唯一つ。
 最後までやれることをすること。
 そう心に強く思えたら足元が軽くなった。
 「少しはスッキリした?」
 「うん。ありがと」
 「ならいい」
 彼がいてくれる。
 「オレが心配してないとでも思ったの?」
 「今まで仕事の事も話してくれてたじゃん・・」
 そうだね。
 あなたに言う事で自分を維持して来てたんだね。
 
 ありがと。
 あたしにはあなたがいてくれる。
 他の誰にも胸の奥を打ち明けられなくても
 あなたがいて、聞いてくれるだけでいい。
 できることをするよ。
 精一杯。
 悔いが残らないように。
 
 明日は午後から休みを貰うから
 病院行こうね。
 もう限界でしょ。
 明日一日もやり過ごせないでしょ。
 だから病院行こう。
 
 アタシね嬉しかったよ。
 あなたが言った言葉。
 「Only まっひーなんだから」
 アタシの力にするよ。
 もっと自信を持っていけるように。
 
 












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2007-09-16 Sun 08:18
 気がついていた。
 彼のウソ。
 「甥っ子におもちゃ買ったからお金なくなった」
 「実家に帰って映画観に行く」
 小さな矛盾。
 それが誰のためのウソなのか。
 楽しかった?映画。
 それに答えるメールが来ない理由も判っていた。
 それでもそばにいるのはアタシなんだと
 自分に言い聞かせていた。
 
 「まっひーゲームしようか〜」
 そんな気分じゃなかった。
 「今日はいい」
 「じゃ〜何しに来たのよ〜〜」
 「洗濯」
 「それじゃー家政婦じゃん〜〜」
 「それでいいの?」
 「て、それに頼ってるのはオレだけど」
 
 何かを一緒にしなければいる意味はないの?
 ただそばにいるだけじゃいる意味はないの?
 
 この数週間
 何度も歌ったフレーズ。
 「自分に負けてまた臆病になって
        逃げるのはもうやめよう」
 彼の町に着いて彼の部屋に向かう途中で何度も歌った。
 彼を心配するのもアタシの勝手
 彼に何かをするのもアタシの勝手
 それでも自分を信じて彼の部屋に向かった。
 どんな彼でもあたしは構わない。
 寝てばかりでも、
 辛そうでも、
 怒っていても、
 それがあたしと向き合ってくれているなら。
   
 アタシの存在意味。
 職場でのアタシ。
 家でのアタシ。
 彼のそばにいるアタシ。
 どれをとっても代わりはいる。
 
 いつも思っていた。
 時には誰かに寄りかかって
 「大丈夫だよ」って言われたい。って。
 「そばにいるからね」って。
 そんな事夢でしかないんだって判ってる。
 もうすぐ40歳。
 強く生きるしかないんだって。
 甘えて許される歳じゃないんだって。
 
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2007-09-15 Sat 01:36
 疲れてしまった。
 知らぬ間にどこかで気持ちが張り詰めていたんだろう。
 体の疲れと共に
 支えていた何かが壊れた。
 彼の部屋でも話す事も笑う事も出来ず
 自分の歩く感触すら感じられず
 家に帰りついた。
 長女の
 「そこで寝てるの?」の声で気がついた。
 キッチンの隅で横になっていた。
 起き上がることも出来ないまま
 また眠りに落ちて
 さっき目を覚ました。
 
 今日一日。
 忙しさに立ち止まる事も無く
 誰かに頼ってしまいたいと思う瞬間
 誰にも頼れないと悟って笑顔を作る
 笑いながら感じる孤独。
 自分の立場。
 いつの間にか出来上がったアタシという存在。
 それを保つ事に限界を感じた。
 一人一人と向き合い
 気持ちを受け止め
 抱える重さに
 その荷物を置く場所を見つけられない。
 
 唯一アタシがアタシで居られる場所。
 それが彼の元だった
 何をしても願ったようには行かない現状に
 自分という存在意味を失った。
 そこにいる存在意味。
 
 ただ眠りたい。
 張り詰めた気持ちを解きほぐして
 胎児のように体を丸めて
 ぬくもりの中に眠りたい。
 何も考えず。
 何も見ずに。
 
 目を閉じると暗闇。
 深い暗闇。
 ゆっくりと深い底に回りながら落ちていくように
 足元が崩れていく。
 
 崩れてもいい。
 
 ただ眠りたい。

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治るため
2007-09-13 Thu 07:00
 2回目の歯医者。
 治療の過程で治まっていた痛みが再発した。
 歯医者の帰り道「頭痛い」と言う彼。
 「治してるんだからしょうがないじゃない」
 そういうアタシの言葉も届かないように
 「歯医者に行く前まで痛くなかったのに」と言う彼。
 そのうち想定していた言葉がこぼれた。
 「もう行かない」
 「言うと思った」
 そのまま何となくケンカのようになってしまった。
 一日中何も食べていない彼。
 せめて明日の朝だけでも何か食べて欲しい。
 その思いさえ、痛みのある彼には
 うるさいだけだったんだろう。
 「歯医者とご飯は関係ない」
 「だから食べたらって言ってるんじゃない」
 「食べる時は食べてるじゃん」
 「朝だけでもって・・・」
 もう何も言う気持ちになれなかった。
 「まっひーご飯食べないの?」
 「いらない」
 「なんで〜元気なんだから食べなきゃダメじゃん」
 「元気だから食べなくても体力あるから」
 そんなやりとりのまま彼の足をマッサージして
 手のひらのマッサージをした。
 早く元気になって欲しいアタシ。
 前より痛くなってしまった彼。
 治るための痛みだと思ってほしい。
 それを越えなければ完治なんてあり得ない。
 眠そうにしてる彼があたしに向けて手を伸ばした。
 手のマッサージと思って何も言わずに手をマッサージした。
 何度も組む手を持ち直す彼。
 「そうじゃない・・・」
 「え?」
 「こっちに来て欲しい・・」
 アタシの手を握りそうつぶやいた。
 引き寄せられて彼のそばに行き
 彼を抱きしめた。
 ちゃんと治るから、ちゃんと病院行こう。 
 アタシの重いが届くように腕に力をこめた。
 「まっひー・・オレをいじめないでよ・・・」
 「いじめてない」
 「オレが病気になるとまっひーコワイ」
 
 それだけ心配してるってことよ。
 あなたに笑っていて欲しいだけよ。
 ツライ思いをして欲しくないだけよ。
 今しなくてもいつかしなくてはいけないなら
 アタシがそばにいられる時に治してしまいたいだけよ。
 そのためにあなたのそばにいるんだから。
 つらい時でも一緒に越えられるように。
 辛い事を半分にしてあげられるように。
 体調がよくなれば気持ちも変わる。
 そのためには今全て治してしまいたい。
 それだけよ。
 もうあなたにあんなツライ顔して欲しくないだけ。
 つらそうなあなたを残して部屋を出なくていいように。
 笑って「じゃあね」
 って言えるように。
 それだけよ。
 がんばろう。
 そばにいるから。
 ちゃんと手を繋いでいるから。
 安心して眠れるように。
 
 
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抱きしめて
2007-09-12 Wed 13:16
 「目が覚めて『まっひー』って呼んじゃったよ」
 彼が言った。
 あたしが帰った後で目を覚ました彼が
 そこにいないアタシを呼んだ。 
 切なくて泣きそうになった。
 言葉も出ずに彼を抱きしめた。
 「なに〜暑いだろ〜」
 抱きしめて
 ごめんね。
 何度も心の中で言っていた。
 そばにいられないこと。
 それはアタシにとってはとても切ない。
 彼がいて欲しいと思う時にそばにいられない。
 だからせめて、
 そばにいるときには精一杯彼の近くに居よう
 そう思った。
 「明日まっひーも一緒に行ってくれるの?」
 「うん。行くよ」
 2回目の歯医者さん。
 病院の先生はとてもいい人だった。
 彼の不安を取り除くために
 モニターで状況を説明してくれていたという
 あんなに嫌がっていた病院も一緒なら行ってくれる。
だから喜んで一緒に行く。
何度でも、いつでも、どこでも。
彼が不安ならいくらでも手を繋いでいる。
今朝早く彼から電話があった。
不在着信が1件。
かけ直すと眠そうな彼がいた。
「まっひ〜お財布どこ〜
彼のズボンに入っていたお財布。
ポケットから出してズボンをたたんで……。
ゆうべのアタシを思い出していた。
彼の部屋で彼のズボンを手に持つアタシ。
「振り向いて……ラックの上に……」
「ラックにないよ〜」
「えぇ〜〜〜…じゃぁ…」
振り向いて…
「バック置いてるところ!!」
「あ〜あった〜〜これじゃあ、わかんない〜…」
「だね。無意識に置いてた」
「安心してまた寝る〜」
出勤までの1時間。
彼はまた寝た。
彼の部屋。
きっと彼よりもアタシの方が
 どこに何があるか知っている。
ただそれだけの事でも、
そこが彼とアタシの空間だと感じられる。
大切な場所。
いつかあの町を離れる時が来ても
あの空間を、
この時間を忘れない。
今日もあの部屋が待っていてくれる。
すぐに帰るよ。
あの部屋に。
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繋ぐ手の思い
2007-09-11 Tue 07:10
 彼は虫歯の痛みが限界になって病院に行った。
 仕事終わりで待ち合わせをして
 彼の住む町の歯医者に行った。
 約1時間の治療。
 薬を貰い、数日後の予約をして帰って来た。
 麻酔で痛みを抑えていても感じる違和感と
 抜歯した事で熱も出始めていた。
 布団に横になり目を閉じる彼。
 何気なく頬に触れて痛みのあった場所に手を添えた。
 その上から彼が手を重ねる。
 ウトウトする彼の顔に手を当ててオデコにキスをする。
 「おまじない・・・」
 「なに・・・」
 「痛くなくなれ〜・・・」
 「痛くないよ・・・」
 ボンヤリとした彼の返事に微笑みながらまた顔を見つめる。
 寝返りを打つ彼の頬からアタシの手が離れた。
 何の気なしに手を引くと
 彼の手があたしの手を捜した
 「まっひーの手は・・・」
 「うん?あるよ〜・・」
 また彼の頬に手を添える。
 その上から包み込むように重なる彼の手。
 大丈夫。ここにいるから。ちゃんといるよ。
 何度も心の中でささやいた。
 「まっひー帰っちゃう?」
 「まだよ。9時半だもん」
 「そっか・・。よかった〜・・・」
 小さい声でつぶやいた彼。
 切なかった。
 時間になれば帰らなくてはいけない
 彼があたしの手を捜すほど心細いんだと思うと
 切なくなった。
 「死にたくない・・」
 うわ言のように、つぶやいた。
 ここの所何かと体調が悪くて気にしていた。
 何度も出る熱に不安が募っていたんだと思う。
 「大丈夫。死んだりしない。大丈夫」
 眠る彼の耳元にささやいて抱きしめた。
 「治るための熱だからね・・・」
 「うん・・」
 そのまま彼は深い眠りに落ちた。
 彼のそばで、彼を安心させて、
 何も考えずに眠れるように
 いつまでも手を繋いでいたかった。
 時間は過ぎていく。
 帰る時間が近づいて彼に手紙を書いた。
 ケータイメールで彼を起こしてしまいたくは無かった。
 目が覚めてあたしが居ない事に
 淋しさを感じて欲しくなかった。
 使いかけのノートに手紙を書いていた。
 何かを感じたように彼が目を覚ました。
 「何してるの〜・・」
 「なんでもない」
 「なにもしてないの?」
 「なんでもないから寝てて」
 「手紙書いてる〜・・・・」
 ボンヤリした口調で彼が聴く。
 やり取りをしている間にまた眠ってしまった。
 アタシの手を握り締めて
 寝息を立てる彼に思いを伝える。
 早く元気になろう。
 そばにいるから。
 ちゃんといるから。
 必ず治るから。
 大きな声で笑えるから。
 あたしの手で安心できるなら
 いつでも繋いでいる。
 いつでも彼に伝えられる。
 伝える思いが届きますように。
 早く元気になりますように。
 
 
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ラブケータイ
2007-09-09 Sun 19:37
 「あのケータイどこだっけ〜?」
 土曜昼過ぎ、実家に帰る前の彼が聞いた。
 アタシ達が始めて一緒に揃えたラブケータイ。
 『2人でボーダフォンにしてラブ定額にすればいい〜〜』
 そう言って買い換えたケータイ。
 もう1年以上使われることの無かったケータイ。
 彼の部屋の押入れの中にずっと置いたままだった。
 会社のケータイになってから一度も使われなかった。
 引越しをした日。
 「あ!!ラブの方のケータイ実家だ!!」
 そう思い出したのは夕方だった。
 「今度帰ったら持って来るから」
 そう約束をして持ち帰ったケータイ。
 彼の使っていない書類バックに入れてそのまま片付けていた。
 
 「押入れの・・・引き出しの横か上に入ってるはずよ」
 
 電話の向こうで探してる彼。
  
 「あった〜〜〜これこれ〜〜」
 
 今は内臓のカードを入れ替えるだけでどの機種でも
 使えるようになってるらしい。
 思い入れのあるケータイ。
 今でもあの日のことを覚えている。
 
 休日の午後。
 メッセンジャーを開けると彼からのオフメ。
 『ケータイ買って来たよー』
 『早く教えたくて〜〜』
 その後に続いていたケータイアドレス。
 嬉しくて、すぐにでもメールを送りたくて
 でもなんとなく恥ずかしくて送れなかった。
 あの日からそのケータイは『ラブ』と呼ばれた。
 きっと彼はそんなこと忘れてしまっただろう。
 例え『ラブ』を忘れても存在を忘れてはいなかった。
 
 今このテーブルの上にそのケータイがある。
 昨日からこのケータイに何度もメールを入れた。
 彼からの返信もこのケータイから。
 このケータイの中にはあのころのままの時間が残ってる。
 彼との関係に自信を失くしているあたしがいるだろう。
 その上から今のあたしたちを重ねていこう。
 1年後のあたしたちで。
 
 その一緒に積み重ねていくはずの彼は
 歯が痛くて寝てしまった。
 しかめっ面をしていた彼の手を握りマッサージをした。
 いつものように手を触ると彼の表情が和らいだ。
 「気持ちいい・・・」
 そうつぶやいて寝てしまった。
 寝息を立ててる彼を見つめながら微笑んだ。
 「歯医者さんいかないとね」
 寝言のように彼が返事をした
 「うん・・・」
 きっと覚えていないだろうな・・・
 行く何て言ってないとか言いそうね・・・
 いつかは行かないとね。
 
 
 
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2人だけ
2007-09-08 Sat 09:10
 昨日の昼休み彼からメールが届いた。
 「ソフトバンク復活したからメールしてみて〜」
 彼が失くしたケータイ。
 一緒に変えたソフトバンク。
 それが復活した。
 嬉しくてすぐにメールを入れた。
 『ニヒッ』
 『いけたかな?』
 しばらくして返信が来た。
 失くしてから来る事のなかったアドレスからのメール。
 それを見ただけで涙が出そうだった。
 『おかえり』
 そうつぶやいてメールをあけた。
 『きたじょ
 簡単な返信。
 『
 絵文字だけの返信をした。 
 それがあたしの気持ちだったから。
 言葉には出来ない気持ちだったから。
 『
 彼からの返信は意味があるようでないような絵文字。
 数だけはあたしよりもたくさん。
 『絵文字まで負けてる・・・』
 そう返信をした。
 アタシにとってこのケータイは大きな意味がある。
 今はもう存在しない『ラブ定額』
 彼だけのプラン。
 ケータイを買い換えたらもう適用はされなくなる。
 だから今だけの『ラブ定額』
 アタシのケータイには彼の名前のアドレスが4つ。
 何かでケータイが変わるたび彼が教えてくれたアドレス。
 今はもう使う事のない物もある。
 それでも、消せない。
 全てに思い出がある。
 そのアドレスに送ったメール。
 そのアドレスから来たメール。
 色々なやり取りの中で
 何かを感じて不安になったり
 喜んだり
 涙ぐんだり。
 復活したケータイのアドレスは今の会社のアドレス。
 彼が進んできた道そのもの。
 今日はまだ何の連絡もない。
 彼が実家に行けば連絡がないのはいつもの事。
 だからここで待とう。
 彼の名前のメールが届くのを。
 見慣れた名前の電話を。
 
 
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ライトから始まった
2007-09-07 Fri 23:33
 何気なくこのブログを見ていて気がついた。
 『ライト』を始めて1年が経ったって。
 一番初めの記事。
 右往左往。
 彼に薦められて始めたこのブログ。
 彼は色々な事を書く事を望んでいた。
 彼の事だけじゃなく、日常のさまざまな事を。
 でもあたしには彼の事しか書けなかった。
 最初の記事は一緒に読んだ。
 と言っても、彼は実家のPCで。
 アタシは今も居るここで。
 メッセを繋いで彼が言った。
 「どこだ〜〜〜教えろ〜〜〜」って。
 あの日以来彼はこのライトを読まなかった。
 それはあの日アタシが言った事。
 「今後は読まないで」
 その言葉通りに彼はライトを読まなかった。
 あの日、彼の実家は急に雨になった。
 メッセに彼が書き込んだ。
 「すげ〜〜バッシャン、バッシャン降ってきた〜」
 そして、ブログの事は忘れたように
 おばあちゃんの畑の話をした。
 「おめでとう」「がんばったね」
 そう言ってくれた。
 あの日からの1年。
 このライトには繰り返し
 凹んだアタシがいた。
 喜んでるあたしがいた。
 泣いてるあたしがいた。
 照れてるあたしがいた。
 そして彼を誰よりも大切だと思うあたしがいた。
 一緒に過ごして自信を失って、
 あきらめかけて、
 あきらめ切れなくて、
 彼を待ち続けた。
 きっと彼には気になる人もいただろう。
 あたしよりも大切だと思える人もいただろう。
 それを肌で感じた夜。
 距離を置こうともがいて
 泣いていた朝。

 あっという間に1年。
 ここにアタシと彼の1年がある。
 読めばその日の光景が広がる。
 彼が言った事がある。
 「凹んだ日のブログ読み返してまた凹まれたら嫌だ」
 凹んだ日のブログはきっと同じ気持ちで読んでしまう。
 でも、今があるから読めるんだと思う。

 ライト。
 これはアタシの記憶。
 消えてしまいそうなかすかな記憶を
 消えないようにここに残すための記憶。
 子供達が大きくなって、
 全てを受け入れられるようになったら
 これを読んで欲しい。
 どんな風に一人の人を愛して
 どんな風に一人の人と向き合ってきたか。
 大切なのは何か。
 今言葉では伝えられないことを
 ここに残していこう。

 「いきざま見せちゃれ」
 彼が言った言葉。
 お金じゃない。
 物じゃない。
 豊かさじゃない。
 最後に残るのは心だけ。

 『ライト』
 ここから始まった。
 ここに書く事で救われた事もたくさんあった。
 誰も読んでくれなくても
 アタシの気持ちの整理が出来ればいいと思って来た。
 今どれくらいの人がこれを読んでくれてるのか
 それはわからない。
 何を感じて、
 アタシと彼の日常に何を見るのか。
 アタシは変わらない。
 彼があたしの前から消えてしまわない間は
 ここにいる。
 ずっと続いて欲しい。
 このままずっと。
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会えない時間
2007-09-06 Thu 22:55
 今日は台風接近の為に彼には会わずに帰って来た。
 彼からのメールは
 「安全のためまっすぐ帰宅じゃ。まっひーもな」
 何となく微笑んでしまうメールだった。
 会えない時間は淋しい。
 でも、会えないときもある。
 仕事帰りの彼からの電話はどこか疲れ気味の声。
 体調もイマイチの状態で
 今日の仕事も『ヘビー』だと言っていた。
 気持ちの上で落ちているんじゃないかと心配にもなる。

 話の途中で薬を飲んだ事を話してしまった。
 「抗生剤を飲んだから〜・・」
 何気なく言った一言。
 「オレのがうつったんじゃん〜〜〜」
 「あんなに心配したのに〜〜〜」
 彼の風邪がうつったのかもしれない。
 彼が寝込んでいるときに何度も言った
 「まっひーにうつっちゃうから・・・」
 言われたようにうつってしまったのかもしれない。
 それでも、それだけそばに居られたんだと思えば気にならない。
 昨日彼と食事をして彼の家でTVを見ていた。
 「これってさー先週もまっひーと見たよな〜〜」
 一緒に同じ番組を見て翌週にその続きを二人で見る。
 そんな些細な事でも今のあたしには嬉しい。
 小さなことでも覚えていてくれる。
 アタシが忘れてしまいそうな事でも
 彼が覚えていてくれる。
 それが嬉しい。
 同じ時間を共有して同じものを見て
 イロイロな事を話しあう。
 彼と居る事で今まで感じることのなかった事も感じられる。
 今まで見えなかったことにも目を向けられる。
 彼がアタシに教えてくれる事の半分でも
 彼に何かを返す事ができるだろうか。
 アタシにできる事。 
 それはいつまでたっても変わらない。
 彼に笑っていようといい続ける事。
 朝の彼からのメールは仕事がヘビーだと書いていた。
 今日の彼の占いのラッキーポイントは
 「大声で笑う事」だった。
 だから彼に写メを送った。
 職場で同僚が書いた落書き。
 彼にとってはそれ程笑えるものじゃなかったかもしれない
 仕事の前に気分を変えて欲しかった。
 アタシの想いが伝わったならそれでいい。
 
 彼からのメール
 「おやすみんしゃい」
 おやすみなさい。
 早く元気になってね。
 いつでもここに居る。
 あなたが元気になるのを見守るよ。
 アタシは大丈夫。
 こう見えても丈夫なんだから。
 早く元気になって。
 心も体も。
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そこにいない時間
2007-09-05 Wed 07:13
 治りかけの風邪。
 微熱は取りきれないけれど
 何とか落ち着きを取り戻した彼。
 この数日でずっと思っていた。
 熱にうなされる彼を残して家を出るたびに
 ずっとそばに居られる人が必要じゃないのか・・・。
 そう思っていた。
 それを口にしてしまえば
 アタシ自身の存在を否定しなければいけなくなる
 だから心の中だけで思い続けていた。
 暗い部屋で一人眠る彼を思い
 そこに居られない自分を責めて
 誰でもいいから彼のそばにいて・・。
 そう願った。
 本当はアタシがそばにいたい。
 本当は他の誰でもなく自分が彼を守りたい。
 それに限度があることを思い知って切なくなった。
 
 「まっひーこっちおいでよ」
 布団の上で横になる彼の脇に座るアタシを
 引き寄せるように隣りに呼んだ。
 彼の首に手を回して肩に寄り添い
 彼があたしを抱きしめる
 「まっひー・・ありがとな・・・」
 抱きしめながらそういう彼に
 そばに居られなかった時間を思った。
 暗い部屋に眠る間、
 彼は誰の名前を呼んだだろうか・・。
 心の中で
 「まっひー・・・」と呼んでくれただろうか・・。
 そばに居られない事をどこかで責め続けた。
 そばに居る間だけでも精一杯彼を守りたかった。
 抱きしめる彼の腕の強さに
 自分の存在意味を見つけた。
 いつか彼は帰ってしまわない
 相手を探したくなるかもしれない
 そんな日が来るまでは
 帰ってしまうアタシでもそばに居させて。
 
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おもいこみ・・・・
2007-09-04 Tue 02:47
 彼は仕事に行った。
 熱は朝の時点で下がっていた。
 午後になると出ていた熱。
 病院に行くためにも早退をした彼。
 心配で彼の元に向かった。
 買い物を終えるのと彼が病院から帰るのが一緒になり
 途中で待ち合わせ。
 彼は前日よりは元気そうだった。
 何となく感じた違和感。
 調子が悪い事だけじゃない何か。
 ふと思った。
 何の連絡もなしに来てはいけなかったのかも・・・・。と。
 家に帰って食事をして彼はケータイのゲームを始めた。
 布団に横になりひたすらケータイの画面を見つめる
 そのそばに座って何も話さずにTVを見るあたし。
 気がつくと何も話さない事で眠ってしまっていた。
 何気なく目が覚めると彼はアタシに背中を向けていた。
 ウトウトしているらしい彼。
 その手には前から使っているケータイが握られていた。
 ゲームをしていたものとは違うケータイ。
 誰かからの連絡を待っているように時々開けてみている。
 完全にアタシは目が覚めていた。
 そして彼の背中を見ていた。
 留守番電話のメッセージを聴いている彼。
 そしてそのまま手の中に握られているケータイ。
 寝息を立てながらも離さないケータイに
 意味を感じた。
  
 冗談半分に言った
 「39度の熱の子からうつされたんじゃないの?」
 彼は怒るように言った。
 「会ってないんだからうつらないだろ」
 
 その子からのメールを待ってたのかもしれない。
 また彼は「思いこみ」「決め付け」そう言うかもしれない。
 でも部屋の隅に座ったあたしには
 居る場所がなかった。
 昨日まで彼を抱きしめた部屋が
 今日はあたしを拒絶してる。
 そんな気がした。
 
 帰りの電車の中
 彼からうつったらしい風邪が頭を重くした。
 眠れないほどに彼を心配した。
 彼が食べられないと思うと食事をする気持ちにならなかった。
 一緒に夕食をとってつぶやいた
 「久々にちゃんと食べた気がする」
 彼が寝込んでからまともに食事をしていなかった。
 それもあたしの勝手。
 彼を心配する事もアタシの勝手。
 
 
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2007-09-03 Mon 03:08
 「寝て起きたら38度越えてた・・」
 午後2時。
 彼からの電話。
 居てもたっても居られなかった。
 そのままバックを手に家を出た。
 行けば帰るのが辛くなる事も
 そんなに長い時間居られない事も
 判っていた。
 それでもそばに行きたかった。
 電車の中。
 『凹んでも寝込んでもアタシが支えるよ守ってあげるよ』
 『笑わせてくれたりありがとって心込めてくれたり』
 聴いていた曲に涙がこぼれそうになった。
 アタシは彼を支えられてるのか。
 守れているのか。
 寝込んでる彼を守ることが出来るのか。
 彼が今までしてくれたこと
 それにアタシは何を返せばいいのか。
 考えるうちに彼の町に着いた。
 あたしに出来ること
 それが何なのか答えなんて出なかった。
 ただ彼のそばに居たい。それだけだった。
 
 彼は起きていた。
 熱は小康状態。
 38.3度。
 喉が痛くなっていた。
 アタシにできる事。
 一晩で彼が着替えたTシャツの洗濯。
 彼の食事の準備。
 飲み物の用意。
 マッサージ。
 彼の手を握っている事。
 それだけしかなかった。
 彼に頼まれたものを買って
 気が付けば帰る時間。
 たった数時間。
 帰る頃にはまた熱が上がり始めていた
 「もう行かなきゃ・・」
 彼を抱きしめて切なくて
 彼の顔を見る事が出来なかった。
 「まっひー・・ありがとう・・」
 「ありがとう・・」
 「まっひー居なかったら死んでた・・・」
 「ありがとう・・」
 耳元で何度も言う彼に
 切なくて
 「喋らないで・・のど痛いでしょ・・」
 そういうのがやっとだった。
 彼の頭を撫でながら
 涙がこぼれた。
 
 一人で居る事の心細さ。
 それは一人暮らしをした人ならきっと感じた事があるはず。
 熱が出て、一人で居る事の不安。
 自分でどうする事も出来ないもどかしさ。
 それを知っているからこそ
 彼を一人残して帰る事が辛かった。
 
 家に戻ると彼からのメール
 「39度越えました」
 楽しそうに一日の事を話す次女の声が遠くなっていった。
 彼のところに戻りたい衝動。
 休みの日くらい子供達と居てあげたいと言う思いと
 こんな時だからこそ
 彼を優先にしたいと言う思い。
 戻れば彼はまた心配しただろう。
 彼に負担を掛けたくなかった。
 家に居ても彼の事が頭から離れない。
 今このときも一人の部屋に居る・・。
 
 
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ごめんね
2007-09-02 Sun 09:55
 彼の熱。
 朝は下がっていた熱が午後から上がり始めて
 夕方には39.2度。
 もう何とかなる熱じゃなかった。
 救急病院に行って診察を受ける彼を待ちながら
 思っていた。
 アタシは結局何も役に立ってないのかも・・・。
 このまま熱が下がらなくても
 時間になれば帰らなくてはいけない。
 彼を部屋にひとり残して。
 動く事もつらそうな彼を一人残して。
 点滴を受けながら笑って見せる彼に
 何もいえない。
 診察結果は
 「原因は判らないから様子を見ましょう」
 薬も解熱剤だけ。
 「ほらな〜・・こんなもんよー」
 「だからってもう病院行かないとか言わないでよ」
 「言わないよ」
 熱さえ下がれば・・。
 その思いも届かなかった。
 家に帰って計ると39.4度。
 もう何をしたらいいのかもわからなかった。
 自分の無力さに悲しくなった。
 病院ではなんとか笑っていた彼は
 もう笑う事もできなかった。
 「まっひー・・ごめんな〜・・具合悪い声出して・・」
 切なくなった。
 あたしが居る事でムリをさせてしまってる。
 「ムリして笑うよりこの方がいい」
 「もう笑えないわぁ・・・」
 日曜は来られるかわからない。
 だから多めにご飯を作った。
 彼一人にしたくない。 
 でも来られるかわからない。
 そばに居てあげたい。
 彼の隣りに横になって抱きしめて
 「うつるぞ・・・」
 「大丈夫」
 「まっひーにうつったら、子供にもうつるだろ・・
              それだけは嫌だ・・・・」
 そんな事気にしなくていい。
 自分のことだけ考えればいい。
 そう言いたかった。
 でも彼を抱きしめている事しかできなかった。 
 どんなにそばに居てあげたくても
 帰る時間が来る。
 いつもの時間。
 「まっひー時間だぞ」
 「うん」
 「最後にオレがまっひー心配してたらしょうがないだろ」
 「うん」
 TVを消して、PCを落として、電気を消して。
 帰る前に彼を抱きしめた。
 頬にキスをして
 オデコにキスをして
 彼の体温を感じて
 涙が出た。
 『ごめんね』
 心でささやいてもう一度抱きしめて家を出た。
 何もしてあげられなかった。
 彼は何度も言った
 「まっひー・・ありがとな・・」
 でも何も出来なかった。
 一晩中そばに居る事さえ。
 
 朝早く彼からのメールが入っていた。
 「ねつは37.4度」
 少し安心した。
 さっきまたメールが来た。
 『ピンクちゃん』の件名
 楽しみにしていたボトムズのプラモの写メが付いていた
 熱が下がって来てプラモをしていたらしい。
 返信を打ち始めて電話が鳴った。
 「いきてるよん」
 「大丈夫なの?」
 「今はね」
 「うん。何度?」
 「37.2度。パン食ったよ」
 「薬は」
 「飲んだ」
 「ムリしないでね」
 「しないよ」
 「休憩してね」
 「少し休むよ」
 「うん」
 「ウンウン唸り始めたら連絡するから」
 「わかった・・・」
 そばに居ることしか出来なくても
 居る意味があるのか。
 安心させようと笑う彼に切なくて。
 辛くて。
 『自分の環境』
 そんなものがない相手なら
 彼はつらい時はつらいって言えたのかもしれない。
 
 どうかもう熱が上がりませんように。
 早く彼が元気になりますように。
 アタシの願いが届きますように。
  
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ムリしないで
2007-09-01 Sat 07:22
 「しんでます」
 彼からのメール。
 調子が悪くて仕事を休んだ。
 時々あること。
 そうたかをくくっていた。
 そのメールが来るまでは。
 自分からそんなメールを送るほど
 調子が悪いのかも・・・
 不安になりながら彼の所に行き
 部屋に入った。
 毛布に包まって横になっていた彼が
 「まっひー・・」
 と力なさげに笑った。
 手に触れただけで判るほどの熱。
 アタシの不安は倍増した。
 あたしに出来ることをして手を握ってそばにいて
 彼を覗き込んでいた。
 ふざけて替え歌を歌う彼。
 「